4-6 財産分与

⑥ 財産分与(財産分与等に関する条項)

財産分与請求は、離婚した男女の一方が、他方に対して、財産の分与を求めるものである(民法768条)。

婚姻後に取得した財産は、たとえ名義上は夫婦いずれのものであっても、夫婦の有形無形の協力の結果として形成されていることが多いためです。離婚に際して、他方配偶者の内助の功を勘案しつつ、夫婦の共同財産を名義にとらわれることなく実質的に即した再分割や潜在的持分の払い戻しとして行う財産分与が清算的財産分与です。

清算の対象

対象となる財産は、原則として、婚姻中夫婦の「協力によって得た財産」(民法768条3項)です。

  • 預貯金
  • 株式等の債権
  • 動産および不動産

次の財産は清算の対象外です。

・夫婦の一方が婚姻前から有していた財産
・婚姻中に相続や贈与により取得した財産とその収益
・特有財産からの出資により得た財産

財産分与の方法(金銭の分与)

一時金の支払い
分与金を一括して一時金として支払う方法。

分割払い
分与金額を定めたうえで、これを分割して支払う方法。
分割金未払いに対する過怠約款を付すかどうかは、当事者にその趣旨を十分に説明し、その意向を確認したうえで決めるのが相当です。

定期金払い
期間を終身とする場合と限定された期間に一定金額を給付する場合があります。一般的に扶養的要素が考慮されたものがこの場合多いようです。

財産分与の方法(不動産の分与)

不動産は、登記名義にかかわらず、財産分与の目的物として分与することができます。登記名義にかかわらず、分与を受ける者が確実に登記できるようにさせることが重要です。

住宅ローン残債務の負担に関する条項

住宅を売却せずに分与を受けた者(妻)が、分与した者(夫)が債務者となっている住宅ローンの残金を負担する場合

ローン契約の内容を変更させることなく、事実上、妻が夫の債務を夫の債務として支払うことです。この弁済は、法的には第三者の弁済です。よって、債権債務関係(債権者、債務者の関係)には何らの変動も生じません。

分与した者(夫)が住宅ローン残金を負担する場合

本来の契約どおり、債務者が債権者に弁済するものであり、債権者との関係では何ら問題はないが、夫が履行しないときには結果として妻が住居を失うこともあります。夫には法的義務を課せられませんが、債務の履行を誠実にする旨の道義的義務を合意させることも、一方策と言えます。

甲=山田太郎(夫)、乙=山田花子(妻)

例1

甲は、乙に対し、財産分与として金300万円を、平成○年○月末日限り、乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。

※「財産分与」名目で金銭の支払いがなされるときは、支払義務の確認は不要です。

財産分与は、離婚に伴い潜在的に存在していた権利義務が顕在化したものであり、財産分与請求権が当事者の合意によって創設されたものではないからです。

例2

甲は、乙に対し、乙の自立資金として金250万円の支払義務のあることを認め、これを平成○年○月○日限り、乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。

※自立資金の本質は扶養的財産分与であるが、あえて「財産分与」としなかったことから、外形上は当事者の合意により新たな権利義務の創設がなされたとみることとなります。したがって、給付の根拠たる支払義務の確認をする必要があります。

例3

甲は、乙に対し、財産分与として金360万円を分与することとし、これを分割して、平成20年4月から同23年3月まで、毎月10万円を、毎月15日限り、乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。

 

例4

甲は、乙に対し、財産分与として、平成20年4月から同23年3月まで、毎月10万円を、毎月15日限り、乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。

 

例5

甲は、乙に対し、財産分与として、平成○年○月から当事者の一方が死亡した日の属する月まで、毎月10万円を、毎月15日限り、乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。

※前述のとおり、条項として好ましいかは検討の余地があります。

 

例6

甲は、乙に対し、財産分与として、平成○年○月から当事者の一方が死亡した日の属する月まで、1ヶ月10万円を支払うこととし、これを3ヶ月ごとに3ヶ月分を一括して、毎年4月、7月、10月、1月の各25日限り、乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。

※前述のとおり、条項として好ましいかは検討の余地があります。

 

例7

甲は、乙に対し、財産分与として金500万円を分与することとし、甲が○○会社から退職金の支払いを受けた日から1ヶ月後又は平成○年3月31日のいずれか先に到来した日限り、乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。

※退職金が財産分与の対象になることは、前述のとおりです。条項作成にあたっては、支払期限を明確にさせることに注意が必要です。

 

例8

甲は、乙に対し、財産分与として、甲が○○会社から支払われた退職金から所得税を差し引いた残額の2分の1に相当する額を、甲が退職金の支払いを受けた日から1ヶ月後又は平成○年3月31日のいずれか先に到来した日限り、乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。

※合意時には、必ずしも金額が特定されている必要はありません。しかし、支払われるべき金額を特定するに十分な要素は取り決めておく必要があります。

 

例9

5 甲は、乙に対し、財産分与及び慰謝料として金1680万円の支払義務のあることを認め、これを分割し、平成20年4月から同40年3月まで、毎月25日限り、金7万円を、第3項記載の口座に振り込む方法により支払う。

(1)甲は、乙に対し、前項記載の平成20年4月から12月までの分割金の支払いに加え、同年12月末日までに金50万円を支払ったときは、前項の財産分与及び慰謝料金1680万円のうち金714万円の支払義務を免除する。

(2)甲は、乙に対し、支払免除後の残金924万円を、平成21年1月から同31年12月まで、毎月25日限り、金7万円を、第3項記載の口座に振り込んで支払う。

 

例10

甲は、乙に対し、財産分与として、郵便局普通養老保険(保険金額金300万円、保険証書記号番号01234567890号)の満期返戻金相当額を支払う。

なお、甲は、満期日以降速やかに、同保険金の受領手続に協力する。

 

例11

1 甲は、乙に対し、生活費の補助として、平成20年6月から同21年5月まで、1ヶ月金3万円を、毎月末日限り、乙に持参して支払う。

2 甲乙双方は、平成21年6月分以降の生活費の補助を継続するか否か、継続する場合の月額、支払方法などを、改めて協議することとする。

 

例12

甲は、乙に対し、財産分与として、別紙物件目録記載の不動産の甲の3分の2の共有特分の全部を分与することとし、本日付け財産分与を原因とする甲の共有特分全部移転登記手続をする。ただし、登記手続費用は、乙の負担とする。

※分与者が第三者と共有する不動産を分与した例です。

 

例13

甲は、乙に対し、財産分与として、別紙物件目録記載の被相続人亡○○○○(平成△年△月△日死亡、最後の住所○○県○○市○○町△丁目△△番地)の相続財産を分与することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。ただし、登記費用は、乙の負担とする。

※相続登記未了の夫の相続財産を分与した例です。

 

例14

甲は、乙に対し、平成○年○月○日、財産分与として、別紙物件目録記載の不動産の甲の共有特分全部を分与することとし、甲は、乙に対し、前同日付け財産分与を原因とする甲の共有特分全部移転手続をする。ただし、登記手続費用は、乙の負担とする。

 

例15

甲は、乙に対し、財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を分与することとし、甲は、乙に対し、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。ただし、登記手続費用は、乙の負担とする。

乙は、甲に対し、財産分与として金200万円を、平成○年○月末日限り、甲の指定する口座に振り込む方法により支払う。

 

例16

1 甲は、乙に対し、財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を分与する。

2 乙は、甲に対し、第3項記載の所有権移転手続をするのと引き換えに、財産分与として金200万円を、平成○年○月末日限り、相手方の指定する口座に振り込む方法により支払う。

3 甲は、乙に対し、前項の金員の支払いを受けるのと引き換えに、第1項記載の不動産について、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。

ただし、登記手続費用は、乙の負担とする。

※妻の金銭支払義務と夫の移転登記手続義務を引換給付とした事例です。

これにより、双方の履行の確保を図っています。

 

例17

甲は、乙に対し、財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を分与することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。ただし、登記手続費用は、乙の負担とする。

乙は、甲に対し、別紙目録記載の預金を分与することとし、乙と甲は、○○銀行○○支店に対し、この債権譲渡の承諾を得る手続をする。

 

例18

1 甲は、乙に対し、財産分与として金300万円を、平成○年○月○日限り、持参又は送金して支払う。

2 乙は、甲に対し、財産分与として、本日、別紙物件目録記載の不動産の乙の持分全部を分与する。

3 乙は、甲に対し、第1項記載の金員の支払を受けたときは、前項の不動産につき、本日付け財産分与を原因とする乙の持分全部移転登記手続をする。ただし、登記手続費用は、甲の負担とする。

※夫の金銭支払義務を先履行とした例です。

 

例19

乙は、甲に対し、財産分与として、本日、別紙物件目録記載の不動産の甲の持分全部を分与する。

甲は、乙に対し、平成○年○月○日限り、前項記載の不動産から退去し、これを明渡す。

 

例20

甲は、乙に対し、財産分与として、本日、別紙物件目録記載の不動産(以下「本件マンション」という。)の甲の持分全部を分与する。

乙は、甲に対し、本件マンションの不動産の明渡しを、平成20年12月末日まで猶予する。ただし、猶予期間中の本件マンションの管理費、共益費は、乙の負担とする。

甲は、乙に対し、平成20年12月末日限り、本件マンションから退去し、これを明渡す。

 

例21

3 甲は、乙に対し、本日、財産分与として、別紙物件目録記載の不動産の甲の持分全部を分与し、本日付け財産分与を原因とする甲の持分全部移転登記手続をする。

ただし、登記手続費用は、乙の負担とする。

(1)乙は、甲に対し、別紙物件目録記載の不動産について設定された抵当権の甲を連帯債務者とする被担保債権につき、甲を連帯債務者から外し、乙の単独債務者となるよう、金融機関と交渉することを約束し、交渉の結果を速やかに甲に報告することとする。

(2)乙は、甲に対し、上記債務を乙の責任において完済することを約束する。

 

例22

1 乙は、甲に対し、本日、財産分与として別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を分与する。

2 乙は、甲に対し、第3項に定める金員の支払いを受けるのと引き換えに、本件建物について、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。

3 甲は、乙に対し、財産分与として、第2項記載の所有権移転手続と引き換えに、甲が平成16年10月29日○○銀行から借入れした借入金2100万円(平成20年1月10日現在の残債額金1875万2581円)の支払期日における残債額相当を支払う。

4 甲乙双方は、本件建物について平成16年10月29日付け第12345号により登記された根抵当権(極度額金2970万円)の抹消登記手続が行えるよう、互いに協力することとする。

(1)甲は、乙が、本日から平成20年6月末日までの間、本件建物を無償で使用することを認める。

(2)乙は、甲に対し、平成20年6月末日限り、本件建物から退去し、これを明渡す。

6 甲は、乙に対し、本件建物の立退料等として金300万円の支払義務のあることを認め、これを平成20年2月15日限り、乙名義の○○銀行△△支店 普通預金口座(番号1234567)に振り込む方法により支払う。

 

例23

4 甲は、乙に対し、本日、財産分与として、現在乙が居住するマンションの甲の持分全部を分与し、本日付け財産分与を原因とする甲の持分全部移転登記手続をする。

5 乙は、甲に対し、前項記載のマンションに設定された抵当権の甲を連帯保証人とする被担保債権につき、甲を連帯保証人から外し、乙の単独債務となるよう、金融機関と交渉することを約束する。

 

例24

6 甲は、乙が現在居住する建物に関する住宅ローンについて、これを責任をもって支払う。

7 甲は、乙に対し、前項記載の住宅ローンを完済したときは、その完済の日以降速やかに、財産分与として、乙の居住する建物を分与することとし、同建物の財産分与を原因とする所有権移転登記手続は、甲乙双方が協力して行う。

ただし、乙が再婚するなどの事情の変更があったときは、本財産分与について、改めて協議することとする。

 

例25

物 件 目 録

1 所  在  千代田区霞ヶ関4丁目

地  番  65番22

地  目  宅地

地  積  82.14平方メートル

(相手方持分2分の1)

2 所  在  千代田区霞ヶ関4丁目65番22

家屋番号  65番22

種  類  居宅

構  造  木・鉄筋コンクリート造スレート葺地下1階付2階建

床面積  1階   37.51平方メートル

2階   39.99平方メートル

地下1階 17.45平方メートル

(相手方持分2分の1)

※いかなる不動産に物件変動が生じたのかを明らかにするために、不動産の表示を記載します。

不動産が土地の場合

土地の所在地、地目、地積を記載します。

建物の場合

所在地、家屋番号、種類、構造、床面積を記載します。マンションのような区分建物の場合は、その1棟の建物の所在、構造、床面積などを記載します。

例26

物 件 目 録

1棟の建物の表示

所    在  東京都千代田区霞ヶ関1丁目1番地

建物の番号  かさいマンション

専有部分の建物の表示

家屋番号  霞ヶ関1丁目1番地の2

建物の番号  1631

種    類  居宅

構    造  鉄筋コンクリート造1階建

床面積  16階部分72.66平方メートル

敷地権の表示

所在及び地番  千代田区霞ヶ関1丁目1番地

地    目  宅地

地    積  20014.51平方メートル

敷地権の種類 所有権

敷地権の割合 123456分の16

 

例27

甲は、乙に対し、申立外○○県の許可があったときは、財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を分与する。

 

例28

甲は、乙に対し、財産分与として○○株式会社の株式を分与することとし、平成○年○月○日限り、別紙目録記載の株券を乙の住所において引き渡す。

(別紙目録)省略

 

例29

甲は、乙に対し、財産分与として○○株式会社の普通株2株を分与することとし、平成○年○月○日限り、同株式を表章する株券を乙の住所に持参または送付して引き渡す。

 

例30

甲は、乙に対し、財産分与として○○株式会社の普通株2株を、平成○年○月○日限り、乙の口座(○○証券株式会社××支店 口座番号1234)に振替える方法により引き渡す。

※振替による株式の譲渡

 

株券等の保管及び振替に関する法律26条によれば、自己の口座の株式について、他の口座への振替の請求をすることができ、他方の口座が証券会社にあれば、その口座に株券を振り替える方法によって引き渡すこともできることから、このような内容の作成も考えられます。

しかし、この条項は当事者間で任意の履行を期待する条項であり、一般に、振替の方法によらず、いったん株券の引渡しを受け、他方の口座に振り替える方法が取られているようです。

 

例31

甲は、乙に対し、財産分与として○○株式会社の普通株10株を分与することとし、同株式を表章する株券を乙の住所において平成20年4月30日限り引き渡す。

甲は、乙に対し、前項の期限までに株券を引き渡さないときは、平成20年4月30日の東京証券取引所における同会社の記名式額面普通株式の取引の終値に10を乗じた額の金員を同年5月末日限り、乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。

 

例32

甲は、乙に対し、財産分与として別紙物件目録記載の建物を分与することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。

甲は、乙に対し、財産分与として、別紙物件目録記載の土地賃借権を譲渡する。

 

例33

甲は、乙に対し、申立外住宅都市整備公団の許可があったときは、財産分与として、別紙物件目録記載の建物賃借権を分与する。

 

例34

甲は、乙に対し、財産分与として、別紙物件目録記載の自動車の所有権を分与することとし、これを平成○年○月末日限り、乙の住所において引き渡す。

甲は、乙に対し、前項の自動車につき、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登録手続をする。

ただし、登録手続費用は、乙の負担とする。

(別紙)物件目録

自動車登録番号  品川○○む○○○○

種     別  小型

車     名  ベンクラス

型     式  A-T90

車体番号  T90-0626

※自動車は、不動産と同様に、所有権登録がされています。自動車件査証を参考に、登録番号、種類、車名、型式、車体番号等によって特定します。

 

例35

①   甲は、乙に対し、財産分与として、甲名義の自家用乗用自動車(登録番号 品川○○む○○○○)の所有権を分与する。

②               甲は、乙に対し、(1)の自家用乗用自動車の登録名義変更手続に協力する。

 

例36

甲は、乙に対し、財産分与として、本日、甲名義の次の預金債権を分与する。

○○銀行△△支店

口座番号 001122

平成○月○日現在の残高 金150万8000円

甲は、乙とともに、○○銀行△△支店に対し、前項の債権譲渡の承諾を得る手続をする。

※金融機関の預金は、たとえ夫婦間であっても銀行側の都合から、譲渡禁止の特約が付されています。譲渡が確実にできるように承認など準備が必要です。

 

例37

甲は、乙に対し、財産分与として、甲名義の電話加入権(電話番号03-1234-5678)を分与する。

 

例38

甲は、乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として、次の郵便局簡易保険の解約返戻金請求権を譲渡する。

保険証書記号番号  01234567890号

保険金額  金500万円

被保険者  田中あゆみ

 

例39

甲乙双方は、以上に挙げる以外の財産については、当該財産の各名義人に、それぞれ所有権が帰属することを、相互に確認する。

 

例40

甲は、乙が経営する「小料理夏」の営業許可について、甲から乙に名義が変更できるよう協力する。

 

例41

甲は、乙に対し、財産分与として、別紙物件目録記載の物件(以下「本件物件」という。)を分与する。

甲には、乙に対し、本件物件を、平成○年○月末日限り、甲の住所において引き渡す。

ただし、本件物件の引渡しに要する費用、冷房用エアーコンディショナーの取り外しに要する費用は、乙の負担とする。

(別紙)物件目録

1 冷房用エアーコンディショナー A社製 製造番号

2 和箪笥 1棹 桐材の木目模様(○○製)

3 座卓テーブル 1台 桜材の木目模様(○○製)

4 乙の私物

5 長男の私物

 

例42

甲は、乙に対し、乙が本件住居から退去するに際して、別紙動産目録の乙、長男らの動産を搬出することを承諾する。

ただし、動産搬出費用は、乙が負担する。

別紙動産目録

(ア)乙の私物           ⑩MDコンポキーボード

(イ)長男の私物          ⑪オーブンレンジ

(ウ)布団、ベッド         ⑫和・洋タンス

(エ)鏡              ⑬整理タンス

(オ)古いテレビ、古いビデオ    ⑭長男の机、イス

(カ)炊飯ジャー          ⑮自転車

(キ)洗濯機            ⑯ジューサーミキサー

(ク)こたつ            ⑰古いパソコン

(ケ)扇風機            ⑱電話機

※動産の特定としては、決して十分ではありません。しかし、当事者間で明確に区分できるのであれば、この程度でもやむを得ない場合もあります。

例43

(1)   甲と乙は、甲が第4項記載の不動産購入に際し、申立外○○○○から借り受けた別紙債務目録記載の残債務金500万円について、甲が申立人に対して支払義務のあることを確認する。

(2)   乙は、甲に対し、(1)記載の残債務金500万円を免責的に引き受ける。

(3)   甲は、乙に対し、申立外○○○○が前項の免責的債務引受を承諾し、同項の債務に相当する金員として、金500万円を平成○年○月末日限り、持参又は送金して支払う。

 

例44

甲は、乙に対し、乙が別紙債務目録記載の残金500万円を併存的に引き受ける。

 

例45

甲は、乙に対し、財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を分与することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。

乙は、甲が申立外○○○○に負担する別紙債務目録記載の平成○年○月○日現在の残債務金2500万円を免責的に引き受ける。

 

例46

甲は、乙に対し、財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を分与する。

乙は、甲が申立外○○○○に負担する別紙債務目録記載の平成○年○月○日現在の残債務金2000万円を完済したときは、前項の不動産につき、同債務を完済した日を財産分与の日付けとし、財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。

甲は、乙に対し、前項の財産分与を原因とする所有権移転登記請求権の仮登記手続をする。

乙は、甲が申立外○○○○に負担する別紙債務目録記載の平成○年○月○日現在の残債務金500万円の履行を引き受ける。

 

例47

4 甲は、乙に対し、財産分与として別紙物件目録記載の不動産を分与することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。

5 乙は、甲が申立外○○○○に負担する別紙債務目録記載の平成○年○月○日現在の残債務金2000万円について、責任を持って支払う。

6 乙は、甲に対し、財産分与として金300万円を分与することとし、これを別紙返済金一覧表記載の金額に分割し、同表記載の期日に甲の指定する口座に振り込む方法により支払う。

7 甲は、乙に対し、第5項記載の債務について債務不履行となり、乙が第4項記載の不動産の所有権を失ったときは、当該不動産の所有権を喪失した月以降の前項の支払いを免除する。

 

例48

甲は、乙に対し、財産分与として別紙物件目録記載の不動産を分与することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。

甲は、乙に対し、甲が申立外○○○○に負担する別紙債務目録記載の平成○年○月○日現在の残債務金2500万円について、その約定どおりに返済し、乙に責任を負わせない。

 

例49

甲は、乙に対し、財産分与として別紙物件目録記載の不動産を分与することとし、平成○年○月○日限り、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。

甲は、乙に対し、前項の財産分与を原因とする所有権移転登記請求権の仮登記手続をする。

乙は、甲が申立外○○○○に負担する別紙債務目録記載の債務を確実に履行し、乙に迷惑をかけないことを約束する。

 

例50

1 甲は、平成20年7月10日までに、別紙物件目録記載の不動産を売却する。

2 甲は、乙に対し、財産分与として、前項記載の不動産の売却代金の中から売却に要した測量費および不動産会社に対する売却手数料を控除した額の2分の1を分与することとし、これを平成20年7月末日限り○○して支払う。

3 甲は、乙に対し、第1項記載の期限までに第1項記載の不動産を売却できなかったときは、財産分与として金900万円を分与することとし、これを平成20年7月末日限り乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。

 

例51

甲と乙は、別紙物件目録記載の不動産を共同して売却するよう努力する。

甲と乙は、前項記載の不動産の売却代金の中から売却に要した測量費および不動産会社に対する売却手数料を控除した額の2分の1を、各々取得する。

 

例52

(1)甲は、乙に対し、前項記載の不動産に関するローン、団体信用保険保険料管理費及び駐車場代金を負担することを約束する。

(2)   甲は、乙に対し、(1)記載の管理費及び駐車場代金として、平成20年7月から同30年6月まで、金10万円を毎月25日限り、第三項記載の口座に振り込んで支払う。

9 利害関係人は、甲のために、第8項記載の金員の支払いについて、同人を連帯して保証する。

 

例53

(1)   甲は、乙に対し、別紙物件目録記載の不動産について設定された抵当権の乙を連帯債務者とする被担保債権につき、乙を連帯債務者から外し、甲の単独債務となるよう、金融機関と交渉することを約束し、交渉の結果を速やかに乙に報告することとする。

(2)   甲は、乙に対し、上記債務を甲の責任において完済することを約束する。

 

例54

2 甲は、乙に対し、第3項に定める金員の支払いを受けるのと引き換えに、本件建物について、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。

3 乙は、甲に対し、財産分与として、第2項記載の所有権移転登記手続と引き換えに、甲が平成16年10月29日○○銀行から借入れした借入金2100万円(平成20年1月10日現在の残債額金1875万2581円)の支払期日における残債額相当額を支払う。

4 甲乙双方は、本件建物について平成16年10月29日付け第12345号により登記された根抵当権(極度額金2970万円)の抹消登記手続が行えるよう、互いに協力することとする。

 

例55

甲は、乙に対し、前項記載のマンションに設定された抵当権の乙を連帯保証人とする被担保債権につき、乙を連帯保証人から外し、甲の単独債務となるよう、金融機関と交渉することを約束する。

 

例56

6 甲は、乙が現在居住する建物に関する住宅ローンについて、これを責任をもって支払う。

7 甲は、乙に対し、前項記載の住宅ローンを完済したときは、その完済の日以降速やかに、財産分与として、乙の居住する建物を分与することとし、同建物の財産分与を原因とする所有権移転登記手続は、甲乙双方が協力して行う。

ただし、乙が再婚するなどの事情の変更があったときは、本財産分与について、改めて協議することとする。

 

婚姻中の債権債務

婚姻費用

例1

甲は、乙に対し、本日までの婚姻費用の分担金の未払分として金10万円の支払義務のあることを認め、これを平成○年○月末日限り、第3項記載の口座に振り込む方法により支払う。

 

例2

甲は、乙に対し、婚姻費用の分担金の清算分及び乙からの借入金の返済として金500万円並びに離婚慰謝料として金300万円の合計金800万円の支払義務のあることを認め、これを次のとおり分割して、乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。

(1)   平成20年7月31日限り金85万円

(2)   平成20年8月から同26年6月まで、毎月末日限り金10万円

(3)   平成26年7月31日限り金5万円

 

婚姻費用分担以外の債権債務

例1

甲は、乙に対し、甲が別紙物件目録記載の不動産を取得するに際して、乙からの借入金として金100万円の支払義務のあることを認め、これを平成○年○月末日限り、乙に持参又は送金して支払う。

 

例2

甲は、乙に対し、立替金として金50万円の支払義務のあることを認め、これを平成○年○月末日限り、乙名義の○○○銀行△△支店 普通預金口座(番号1234567)に振り込む方法により支払う。

 

離婚当事者の題三者に対する債務

例1

(1)   甲は、参加人に対し、別紙物件目録記載の不動産を取得する際の借入金として金600万円の支払義務のあることを認め、これを分割して、平成20年1月から同24年12月まで、1ヵ月金10万円を、毎月末日限り、参加人の指定する口座に振り込む方法により支払う。

(2)   甲は、参加人に対し、前項の支払いを怠り、その額が金30万円に達したときは、当然に期限の利益を失い、残金を直ちに支払う。

(3)   参加人は、甲に対し、甲が平成23年12月まで(1)記載の支払いを遅延なく履行したときは、その残額の支払いを免除する。

 

例2

甲は、乙の父鈴木三郎が債務者となり購入した自動車のローンの残債務について、責任をもって完済するものとする。

 

例3

1 甲と乙は、甲が第4項記載の不動産購入に際し、申立外○○○○から借り受けた別紙債務目録記載の残債務金500万円について、甲が申立外人に対して支払義務のあることを確認する。

2 乙は、甲に対し、前項記載の残債務金500万円を免責的に引き受ける。

3 甲は、乙に対し、申立外○○○○が前項の免責的債務引受を承認し、同項の債務に相当する金員として、金500万円を平成○年○月末日限り、持参又は送金して支払う。