強制執行について

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養育費の支払いが滞ったとき

取り決めをしても継続が難しいのが養育費の支払いです。離婚して最初の数カ月はちゃんと支払われていても、いつの間にか遅れがちになり滞ってしまったという経験を多くの方がします。支払い率が2割にも満たないという調査結果があるように、困っている監護者がたくさんいるのが現状です。ここで公正証書が強い味方になってくれるのです。

思いやりをもって交渉から

養育費の不払いが起こる原因は、離婚後に別れた夫婦が親としての関係を良好に築けていないことにあります。嫌いな相手と、別れたあとまで関係を続けていくのは確かにたいへんですが、子どもが成人するまでは、無視するわけにはいかないのです。別れたあとも子どもの様子を報告するなど、日ごろから良好な関係を築くための努力が必要ですが、なかなか気持ちが向かないのは仕方のないことかもしれません。

ですがここは気持ちを切り替えて、わが子のためにしたたかになろうというくらいの心構えで、感情的にならずに上手に交渉しましょう。

まずは手紙や電話などで直接交渉してみましょう。

公正証書で法的手段がとれますが、いきなり強制的なものが届くと意固地になってよけいに払いたくなくなるので逆効果です。思いやりをもって、払えない事情をまずは聞いてみましょう。

意のある対応をしてくれなかったら

相手の事情を考慮しながら直接交渉しても、相手が誠意のある対応をしてくれない場合には法的な手段を使うしかありません。

間接強制

 裁判所が相手に「払いなさい」と催促
→ 払わないと遅れた分の罰金(遅れると増えていく)

約束した支払いがされない場合に、一定の制裁金を支払うよう裁判所が命じて、履行を心理的に強制する制度です。

期限が来ても支払われない養育費に関して、裁判所に間接強制の申し立てをすれば、裁判所から債務者に対して、間接強制の決定がされます。

そうすると、金融機関で借入れをしたときに遅延損害金が生じるように、債務者が裁判所の決定で決められた期間内に支払いをしないと、遅延期間に応じて制裁金が増すことになります。「支払いをするまで一日ごとに○円を支払え」という決定がされる場合もあれば、「○月○日までに支払わなければ○円を支払え」という決定がされる場合もあります。

直接強制

裁判所が相手に「払いなさい」と催促
→ 払わないと、相手の財産を差し押さえます。

約束した支払いがされない場合に、裁判所が強制的に相手側の財産を差し押さえ、支払いを実行させる制度です。

一度の滞納で将来に渡って給料からの天引きができるので、定期的な収入(給料、家賃等)がある場合には、安定した支払いを確保できるようになり安心です。

給料の2分の1までの金額を差し押さえられます。

法律の行使は良好な親子関係を築くためにはマイナスに作用してしまうことも多く、最後の手段だと思いますが、相手に支払い能力があるのにも関わらず履行されない場合には、強制的に親としての責任に気づいてもらうことも必要かもしれません。