4-4 面会交流権

④ 面会交流権

離婚後、親権者・監護権者になれなかった父母の一方が、子と定期的に会ったり、子と交流や接触をすることを面会交流といいます。

面会交流権の法的性質については、基本的には権利性を認めつつ、親あるいは子のいずれの権利としてアプローチするかということになりますが、父母の離婚後も父母の愛情を平等に受ける機会を子から奪うことはできないのであって、子の幸福追求権という観点を捨象してはならないでしょう。

面会交流の実施回数について

「月1回」とした場合、何らかの事情により面会交流が実施できなくなれば条件違反となってしまいます。また、複数回実施することが可能な状況であっても、養育者側においてそれぞれ1回に制限できる可能性をもたらすことになります。

面会交流を円滑に行うためには、実施回数の定め方についても「月1回程度」などのように含みをもたせるような工夫も必要です。

甲=山田太郎(夫)、乙=山田花子(妻)、丙=山田一郎(長男)、丁=山田美香(長女)

例1

乙は、甲が、丙及び丁と、月1回程度、面会交流することを認める。その具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉を尊重し、甲乙間で協議して定める。

例2

乙は、甲が、丙と毎週日曜日、祝祭日及び子の休暇中に面会交流することを認める。ただし、甲は、子を宿泊させることなく、その日の午後7時までには乙の住居に帰宅させる。

※帰宅については、乙が迎えに行くあるいは甲が送り届けるなどの取り決めをする場合もあります。

例3

乙は、甲が、丙の春休み、夏休み及び冬休み期間中に、丙と3泊までの宿泊を伴う面会交流することを認める。その具体的日時、場所、方法等は、子の福祉を尊重し、甲乙間で協議して定める。

例4

乙は、甲が、丙と、当分の間、月1回程度面会交流することを認める。その具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉を尊重し、甲乙間で協議することとし、やむを得ない事情で日程を変更する必要が生じたときは、可能な限り早期に連絡を取り合い、誠意をもって日程変更の協議をすることとする。

面会交流が履行されないときには、履行勧告によるほか、間接強制による強制執行に委ねるものとされています。面接交渉という性質上、強制執行に委ねる場合には、条項に面会交流の具体的日時、場所、方法等が特定されていなければなりません。

しかし、面会交流は、未成年者の状況や親権者の状況、あるいは面会交流する者の状況等を考慮して実施されるものであり、必ずしも決められた日時に面会交流が実施されていないことは、これまでに多く経験しています。