民法が定める「離婚」

日本の民法は、結婚は「当事者同士の契約」であるという論理を貫き、宗教の影響がありません。したがって、夫婦が合意すれば、自由に結婚を解消することができると定めています。

日本の離婚には、大きく分けて「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3種類があります。

夫婦が話し合って別れることに合意すれば、届け出によって離婚することができます。これが「協議離婚」です。離婚の理由は問われません。法律の定める離婚理由がなくても、協議離婚はできるのです。協議離婚は最も簡単な離婚手続きで、国によっては存在しない制度です。けれども、一方が離婚に同意しない場合は、協議離婚はできません。このような場合、まず家庭裁判所で「調停」による話し合いをします。調停で離婚の合意ができれば、「調停離婚」が成立します。
さらに、それでも合意ができない場合は、離婚の「裁判」を求めることができます。民法の定める離婚原因があれば、裁判で離婚することができるのです。これが「裁判離婚」です。

法定 離婚原因

① 不貞行為
② 悪意の遺棄(故意に配偶者の義務を尽くさないこと)
③ 3年以上生死不明
④ 回復の見込みがない強度の精神病
⑤ その他、婚姻を継続し難い重大な事由がある

実際には、離婚の約9割が「協議離婚」で、残りの約1割が「調停離婚」や「裁判離婚」です。つまり、裁判所が離婚に関与する割合は約1割しかない、ということです。けれども、法律が認めている5つの離婚原因のどれに当てはまるかという判断は、協議離婚であっても、慰謝料その他の判断に役立つはずです。