離婚準備中にやるべき事①

離婚準備中にやるべき事①

離婚は、子どものいない人は一人でいきていくこと、子どもを引き取る人は一人で子どもを育てていくことです。その覚悟をしつつ、あらかじめ考えておくことは山積みです。

離婚を決めていきなり言い出すのは得策ではありません。「離婚してください」そう言った後も同じ家に住めますか?難しいですよね。

お金をどう捻出するか(自分の個人財産を把握することから)

・離婚に必要な費用(諸手続き、弁護士、公証人など)
・離婚後の生活費(引越し費用なども)

やるべき事
まずお金を貯める(目標百万円、ムリならできるだけ)
自分名義の口座に資金作りをする
自分名義の銀行口座を持つ
結婚前の預貯金や相続金は、家計と分ける
自分の収入からも貯蓄をする
生命保険の受け取りを自分にする

住居をどこにするか

住む場所を確保し、徐々に荷物を整理し、子どもの転校先を調べます。
婚姻中の住居に住み続ける(自己名義の場合/財産分与で)
実家に戻る(実家と要相談)
新しい所に住む(資金・条件を検討)

仕事をどうするか

現職を続ける
求職する(条件に合う仕事があるか、いつからどのように求職活動をするか)
就職に備える(離婚までに職業訓練や資格の取得は可能か)

結婚で姓を変えた側なら、離婚後に名乗る姓をどうするか

姓は選べる
離婚の際には、離婚後に名乗る姓を選択できます。
結婚前の、いわゆる旧姓に戻る場合には手続きがいりませんが、婚姻中の姓を名乗るには市区町村役場に届出が必要です。

離婚から3ヶ月以内に、「離婚の際に称していた氏を称する届」を役所の戸籍係に提出すれば認められます。所定の用紙に署名・押印するだけで、理由も、相手側の許可も不要です。新しい戸籍に記される姓は、婚氏になります。この時に決めた姓は本名として戸籍に記されるため、これを変更するには、よほどの事情がなければ認められません。ですから、特に子どもがいる場合には、姓については熟考が必要でしょう。3ヶ月以内に手続きをしなかった場合、家庭裁判所で氏の変更許可の審判を申し立てなければなりません。

戸籍の筆頭者でない側なら、戸籍をどうするか

・親の戸籍に戻る(子どもがいない場合のみ)
・新戸籍を編纂する

戸籍と姓

夫婦は、結婚の際にどちらかの姓を選びます。その時に選んだ姓(婚氏)のほうが、新しく作られた戸籍の筆頭者になります。婚姻中の2人は、その同じ戸籍に入っています。離婚すると、筆頭者でないほうがその戸籍から除籍され、筆頭者は残ります。除籍されたほうは、結婚前の戸籍にもどるのか、単独で新しい戸籍を作るのかを選択することになります。ただし子どもがいる場合、子どもと一緒に親の戸籍に戻ることはできません。戸籍は「夫婦と子ども」を原理としているので、「親子」以外は1つの戸籍に入れないのです。また、姓がちがう人間が1つの戸籍に入ることもありません。

財産分与をどう希望するか

割合、清算方法など

財産分与=共有財産の清算

財産分与とは、婚姻中に夫婦が築いた共有の財産を清算することです。婚姻生活に必要な家財道具をはじめ、土地・建物などの不動産、車、預貯金、有価証券などが該当します。所有名義が夫婦のどちらかになっていても、それを所有するにはもう一方の協力があったことが考慮され、共有財産とみなされます。これらの財産を清算する際は、時価を基準にして評価を決定します。結婚前からの貯金や嫁入り道具、親から相続した遺産、贈与された財産などは、夫婦の共有財産にはなりません。財産分与は、離婚理由に関係なく行われるものです。また、離婚届を出した後でも、2年以内なら請求の権利があります。

家を分与する際の注意

土地建物を現物のまま分与する場合、所有権移転登記手続き、つまり名義変更をしなければなりません。名義変更の手続きにも費用がかかるので、どちらがそれを負担するかについても、決めておきましょう。
賃貸住宅の賃借権の分与も、離婚の時点で行なわなければなりません。その物件を出ることになった時は敷金の返還請求権もあるので、はっきりさせておくことが必要です。

分ける割合を決める

財産を評価して総財産額が決まったら、双方で分け合う割合を決めます。裁判所では「寄与度説」といい、夫婦がどれくらい共有財産の形成に寄与したかが評価されます。基本的には、収入に関わらずそれぞれ半々の寄与があると評価されます。

裁判所を通して請求する場合

財産分与の金額や方法は2人で話し合って決めることですが、離婚調停の中でも話し合えます。また、裁判所に申し立てて請求することができます。
離婚後も2年間は請求する権利があります。

財産分与請求
申立先:家庭裁判所(相手方の住所地、または相手方と合意した所)
費  用:1200円(収入印紙)+郵便切手(80円×10枚)
必要な物:・「家事調停申立書(財産分与)」(所定の用紙)
・申立人の戸籍謄本 1通
・相手方の戸籍謄本 1通
・不動産の登記簿謄本 1通(未登記なら固定資産評価証明書)
※切手の額や必用な物は、裁判所によって異なる場合があるので、問い合わせてください。

慰謝料の予想

発生するか、いくらか
慰謝料の相場は2~400万円ですが、婚姻期間が長ければ4~800万円と上がっていきますし、夫側が一方的に悪い場合には6~800万円もらえる場合もあります。(あれば、のはなしですが)1000万円近くというのは芸能人の話で一般庶民はそんなに高額ではありません。
夫が自営業かサラリーマンかにもよりますし、夫婦のケースによります。

慰謝料 ・・・離婚原因となった事実によって苦痛を受けた側に対し、その事実を作ったほうは、損害賠償として「離婚原因慰謝料」(以下、慰謝料)を払う義務があります。その「苦痛」が慰謝料の対象になるかどうかは、「離婚原因」が基準ですが、払う側の収入・結婚期間・子どもの有無などが考慮されるので、慰謝料の額はまちまちです。協議離婚なら2人の話し合いで、その他は、それぞれの法的な手続きの過程において他の条件と一緒に決めていくことになります。

支払方法

慰謝料は、金銭での支払が一般的ですが、不動産や株で支払われる場合もあります。
金銭での慰謝料に対して、受け取る側は非課税です。不動産を処分して支払う場合は、支払う側に譲渡所得税がかかります。
一括払いが原則ですが、分割の場合もあります。受け取る側にとっては、一括払いが理想です。分割にすると、途中で相手が支払わなくなったり、死亡したりと、トラブルが予想されるからです。協議離婚なら、「分割金を1回でも支払わなかった場合は、残金を一括して支払うとともに強制執行を受けても異議ありません」という文章を入れた「公正証書」を作成するのがいいでしょう。

離婚後の慰謝料請求

離婚の時点で受け取っていなくても、離婚届を提出して3年以内なら、相手に慰謝料を請求できます。ですから離婚時点で支払能力がなく慰謝料がなかったとしても、3年以内に財産ができれば、請求が可能です。
双方で合意ができなかった場合は、慰謝料請求の調停を申し立てることができ、調停で決まらなければ裁判になります。

慰謝料請求の調停
申立先:家庭裁判所(相手方の住所地、または相手方と合意した所)
費  用:1200円(収入印紙)+郵便切手(80円×10枚)
必要な物:・「家事調停申立書」(所定の用紙)
・申立人と相手方の戸籍謄本 各1通
※切手の額や必用な物は、裁判所によって異なる場合があるので、問い合わせてください。

 

子どものいる人は・・・

親権・監護権について

父親が取る (経済状態は? 育児ができるか? バックアップはあるか?)
母親が取る (経済状態は? 育児ができるか? バックアップはあるか?)

※ 親権者 ・・・ 親が子どもに関して持つ権利・義務の総称です。親権者は、子どもの生活や教育に関する権利・義務(身上監護権)や、財産に関わる権利・義務(財産管理権)を持ち、子の法定代理人になります。
子どもが15歳未満の場合、養子縁組も親権者が子に代わって承諾します。再婚で子が新しい配偶者の養子となった場合は、養親も親権者になります。
離婚によって一方が親権者となり、その親権者が死亡した場合、もう一方が自動的に親権者になるのではなく、後見人が立てられます。後見人は最後の親権者の遺言に従いますが、遺言が無い場合は家庭裁判所が決定します。親権は戸籍に記載され、変更には裁判所の手続きが必要です。

親権者の決定

協議離婚:離婚届を出す前に2人で決める
調停離婚:他の離婚条件と同様に調停で決まる
裁判離婚:判決によって決まる

親権=財産管理権+身上監護権

※ 監護者 ・・・「監護権」は子どもを監護・教育する権利で、親権の一部です。
監護者を親権者が兼ねる場合が多いのですが、別にすることもできます。親権を持たなくても、監護権があれば、子どもを引き取る権利があります。
監護者は親でなくてもよく、子の利益に最も適していると判断できれば、祖父母やおじ・おば等でもかまいません。乳幼児の監護者は、よほど不利な事情がない限り、母親のほうが適していると判断されます。
監護者は、当事者の協議によって変更できます。また、戸籍には記載されません。

養育費について

・子どもの養育にいくらかかるか
・ともに暮らさない側が、いくらはらえるか
養育費は払わなくなる人もいるのであまり当てにはできません。口約束ではなく、「公正証書」を作ってもらいましょう。(サラリーマンなら支払わなくなると給料から天引きしてもらえます。)本人は払う記満々でも、再婚したりすると、新しい妻が「払わないで」などと言うかもしれませんからね。

面接交渉について

・頻度・回数、面会方法(子どもの心の安定を図りながら)
面接交渉   親権も監護権も得られず、子どもを引き取れなかったとしても、親には自分の子どもに面会する権利(面接交渉権)があります。
面接交渉権は親として当然の権利で、もう一方の親は子どもに会わせるのを拒否することはできないのです。
親権や監護権と同様に、面接についても離婚の際の協議で決めます。
具体的な内容を決めて、書面にしておきましょう。

・面接の頻度(標準は、月1回、年2回の2泊3日程度)
・面接の時間の長さ(何時間、何日など)
・宿泊してよいのか
・場所や日時は誰が決めるのか
・電話や手紙のやりとりを認めるのか
・誕生日などにプレゼントをできるのか
・どのような会い方をするのか
・学校行事へ参加できるのか
・子どもの意思をどうするのか
・子どもの受け渡しの方法
・内容を変更する場合はどうするのか
・連絡方法はどうするのか

調停の申し立て方

協議で決まらなければ、調停で決めます(不成立なら審判手続き)。離婚の際に面接交渉権を放棄したとしても、それは不適法な合意ですから調停を申し立て無効にできます。逆に、面接交渉を決めても、そのために子どもが情緒不安定になったり学習意欲を低下するなでの悪影響があった場合には、一時停止を求めることができます。また、相手が勝手に子どもと会ったり、子どもを連れ去ろうとしたりする場合は、面接交渉権の制限を申し立てることができます。

申立先:家庭裁判所(相手方の住所地、または相手方と合意した所)
費  用:1200円(収入印紙)+郵便切手(80円×10枚)
必要な物:・「家事調停申立書(面接交渉)」(所定の用紙)
・自分、相手、子どもの戸籍謄本 各1通
※切手の額や必用な物は、裁判所によって異なる場合があるので、問い合わせてください。

面接交渉が認められる基準は、子どもの利益と福祉です。会うことで子どもに悪影響がある場合には、面接交渉権が制限(面接を禁止、親権者同伴で会うなど)されます。

面接交渉が認められない場合
・親権喪失事由がある(暴力、覚醒剤使用など)
・支払い能力があるにもかかわらず養育費を負担しない
・子どもや監護者に暴力をふるったり、悪影響を及ぼすおそれがある
・子どもが面接交渉を望んでいない

子どもの姓をどうするのか

・子どもの戸籍
両親が離婚しても、子どもは婚姻中の夫婦の戸籍に残ります。
例え親権者が母親でも、戸籍を離れたら、子どもと母親の戸籍は別になります。
この場合、母親が子どもを自分の戸籍に入れるために、自分で新しく戸籍を作り、子どもの入籍届を出さなければなりません。
もちろんその場合は、実家の戸籍には戻れません。

Ⓠ 子どもがいるので、新しい戸籍を作ります。
本籍地はどうなるのでしょうか?

新しい戸籍を作る場合、本籍地を自由に決められます。
離婚後に生活する住所を、本籍地にしてもいいのです。

 

相手に請求するお金を考える

・相手の収入と預金口座、財産をすべて把握する
・子供の養育費、日常の生活費の概算を出す

控えておくもの
 預貯金の記帳内容
 相手の給料の振込み口座(離婚後に養育費を回収するため)
 生命保険の証書番号
 相手の年金の基礎年金番号
 家のローンの借り入れ返済額

自分側が有利になるような証拠を探します
緊急を要しない場合は数ヶ月かけてもいいのです。
ギャンブル・暴力・浮気・借金などの証拠を見つけておきます。
 携帯電話やパソコンのメールや履歴、写真など

用意するお金

離婚の費用
各手続きにかかる費用、公証人、裁判所、弁護士など

離婚後の自立のための費用
生活用品、生活費、家賃などで、目安は100万円

専業主婦のための確保しておくお金の話
離婚後に、経済的に苦しくなる可能性は女性のほうが高いものです。まして専業主婦だった人や、子どもを引き取ることになった人にとって、お金は深刻な問題です。一般に母子家庭の平均年収は、同年代の一般家庭の3割程度と言われています。夫の多くは、会社からの扶養手当や税金の扶養控除がなくなるぐらいの変化ですが、フルタイムで働いていない妻のほうは離婚貧乏になってしまう可能性があるのです。

離婚後の収入は、婚姻中と同じ職に就いている場合はあまり変化しませんが、離婚後に就職した場合には、格段に低くなっているのが現状です。ですから、離婚準備金はなるべく婚姻中に貯めて、財産分与や慰謝料など受け取れるものについてはしっかり検討しておかなくてはなりません。自分の財産を確実に把握し、貯蓄しましょう。結婚前の貯金や両親からの相続、結婚後のパートなどの収入、へそくり……。離婚後の明るい未来のためであると同時に、お金があれば離婚交渉も強気で進められます。