ご案内「暮らしの相談について」

内因性抑うつ患者の2つの義務

内因性抑うつを対象とする精神療法

内因性抑うつを対象とする精神療法という点で注意しなければならないのは、この症例ではよくあることだが試みられた精神療法それ自体が医原性の病毒になるのではないかということである。とくに患者に対してしっかりしなさいと語り掛ける試みはまったく逆効果である。むしろ推奨されるのは患者が抑うつをまさに内因性のものとして受け取るように、一言でいえば、患者が抑うつを客観化し、そのような仕方で患者自身が自分で抑うつから可能な範囲で距離をとれるように指導することである。

このことは軽度ないし中度の症例の場合には可能なのである。

われわれが患者に指示するのはしっかりすることではなく、患者の価値盲目性すなわち自分の価値や人生の意味を見出すことに対する患者の無力ですらも情性疾患のせいであると意識して、その情性疾患に耐えることである。

われわれの義務

われわれは患者に病気の間は種々の義務を免れていること、あるいはただ次の二つの義務だけを負っていることをはっきりわからせるということである。第一に医師とその診断を信用する義務である。われわれはとにかく患者にあなたは少なくともそれぞれの病期を経た結果、病前と全く同じ人間に回復すると確約できるからである。第二に、自分自身に対して辛抱強くなる義務である。この二つの義務を患者は、その治癒の日まで負うのである。P.342